資産がある場合は自己破産に時間がかかる【管財手続きの流れ】
借金が全て棒引きになる債務整理の方法が『自己破産』です。他の債務整理とは違い、借金を完全にゼロの状態にして、経済的に再出発ができるため、この制度を選びたいと考える方は少なくありません。
ただし、手続き方法が少し複雑であり、各自の状況によってやり方が2通りに分かれます。
それら2つの方法の内で、不動産・自動車などの資産が無い方の場合、『同時廃止手続き』というやり方で進めていきます。債権者に配当する財産が無いため、免責までに必要な期間も4ヶ月程度と短いです※。
※ 同時廃止手続きでの自己破産の流れは、以下の記事を読んで頂ければよく分かります。
参考:自己破産の手続きの流れ【借金がなくなる債務整理の方法】
一方、持ち家や自動車をお持ちの方が自己破産をするためには、『管財手続き(管財事件)』という方法で手続きを進めなくてはいけません。
こちらの方法での自己破産が少し分かりづらいため、以下ではその流れについて詳しく解説します。自分のどちらの方法を選ぶべきか分からないという方や、管財手続きの流れを理解したいという方は、ぜひチェックしてください。
自己破産の管財手続きとは

まず、管財手続きになるかどうかの目安については、あなたの資産が30万円以上あるかどうかです。なお、ここで資産と考えるのは、例えば以下のようなものです。
■資産の例
- 現金
- 退職金
- 不動産
- 自動車(評価額が20万円以上の場合)
- 保険解約金
- 敷金返還請求権(大家に支払った敷金を返してもらう権利)
もし、上記に紹介したものの合計が30万円以上ある場合は、管財手続きとして進める可能性が高いです。なお、処分するべき資産についてさらに詳しく知りたい方は、以下の記事をご参照ください。
参考記事:自己破産で処分しなくてはいけない財産は何?【車・不動産】

なお、管財手続きの目的は債務者が所有している資産を、債権者に公平に配当することにあります。
そのため、先ほど紹介した資産は裁判所から選ばれた『管財人』により、処分がされお金に換えられます。そして、債権者に分配されるんですね。
分配の割合については債権額に比例して、公平に支払われることになります。この分配行為を配当と呼びます。
配当が終了すると、債権者集会が開かれ管財人によりその内容が報告がれます。ここまでが完了して、ようやく裁判所から破産が認めれるんですね。
以上のように、管財手続きでの自己破産は手間も時間もかかるものです。どのくらいで完了するかはケースによってバラバラですが、完了までは半年から1年ほどの時間が必要だと考えておいた方が良いでしょう。
ただし、管財手続きが面倒だからと言って、資産を隠す行為は絶対にしてはいけません。もし、資産の隠ぺいがばれれば、破産をしても免責が認められませんからね(以下の記事を参照)。
自己破産しても免責されないケースがある!【免責不許可事由】
ですから、資産は隠したりせず、あなたを担当してくれる弁護士に正直に伝えることが大切です。
本記事のまとめ
持ち家や車などの資産がある場合には、管財手続きで自己破産が進められます。
なお、管財手続きでの自己破産は半年から1年ほどの、長い時間が必要となる場合が多いです。