自己破産で処分しなくてはいけない財産は何?【車・不動産】
借金返済の最終手段であると言われている『自己破産』。この方法で債務整理を行えば、借金は1円も支払わずに免責を受けることが可能です。
債務整理の方法には、任意整理・小規模個人再生・給与所得者等再生など、いくつかの方法がありますが、借金返済が完全に免除されるのは自己破産のみになります。これが最終手段と言われている理由です。
ただし、自己破産にもデメリットはあります。それは破産申立て者に資産(財産)があった場合です。そのようなケースでは、資産を処分して債権者に分配しなくてはいけません※。
※ 資産がある場合の自己破産手続きを『管財手続き(管財事件)』、ない場合の手続きを『同時廃止手続き』と呼びます。詳しくは次の記事を参照。
参照:自己破産の手続きの流れ【借金がなくなる債務整理の方法】
では、処分するべき資産にはどのような物が含まれるのでしょうか?車や持ち家がある方には気になる点ですよね。
そこで、以下では自己破産での免責を認めてもらうために、処分をしなくてはいけない資産について詳しく解説します。自分の所有しているものが、どうなるかを知りたい方はぜひチェックしてください。
自己破産で処分をしなくてはいけない7つの資産
1.不動産

家・マンション・土地を所有している場合も、全てのケースで資産として認定されてるわけではありません。基準となるのは、住宅ローンの残高が不動産評価額の2倍以上あるかどうかです。
もし、2倍以上ある場合には資産としてみなされないことになります。つまり、ローンの残高が多すぎると、たとえ持ち家であっても資産の価値は無いわけです。
2.自動車

評価額が20万円以上の場合は、自動車は資産としてみなされます。
ただし、病気やケガのために歩行することが困難で、生活する上で自動車が欠かせない場合には、生活必需品として認められて処分されないケースもあります。
3.高級品
高級時計や宝石、絵画、ブランドバッグなども20万円以上の価値があれば資産です。ですが、これらの物品は自動車とは違い、明確に所有者が分かる訳ではありません。そのため、所有者が分からなければ、処分されるかどうか微妙なところです※。
※ 当たり前のことですが所有者を偽ってはいけません。次の記事で解説したように、資産を隠すことは免責不許可事由になるので、くれぐれも注意してください。
参考:自己破産しても免責されないケースがある!【免責不許可事由】
4.保険解約返戻金(ほけんかいやくへんれいきん)
保険を契約している場合、それを解約したときに戻ってくるお金が20万円以上あるなら、それも資産です。また、複数の保険に契約している場合には、1社あたりの解約返戻金が少なくても、合わせて20万円以上になれば資産とみなされます。
5.退職金
今退職した場合に支払われる退職金の八分の一が20万円を超えるなら、資産として考えられます。なお、たとえ退職金が資産と認定されても会社を退職する必要はありません。その額を分割で支払えば大丈夫です。
6.現金

99万円までの現金は自由財産として認められるので、自由に使うことが可能です。
ただし、それ以上の現金を所有している場合は、99万円を超える分が資産になりますので、返済に充当しなくてはいけません。
7.敷金返還請求権
賃貸マンション・アパートに住んでいる管理会社や大家に敷金を払っているはずです。その敷金についても、20万円を超えて返ってくる場合は資産として考えられます。敷金は礼金とは違いますので、普通に生活していれば退去時に返還してもらうことが可能です。
以上の7項目が、自己破産時に処分するべき資産となります。
本記事のまとめ
自己破産は借金を返済する義務がなくなる制度ですが、所有している資産は処分して債権者に分配をしなくてはいけません。
もし、資産隠しをしてそれがばれた場合には、免責が認められない場合もあります。ですから、隠したりせずに正直に担当の弁護士に伝えるようにしてください。