少額管財手続きとは【東京地裁で採用している自己破産手続き】
個人破産には『同時廃止』と『管財手続き(管財事件)』の2つの方法があることを、当サイトでも過去に記事で紹介しました。
同時廃止と管財手続きとの違い【自己破産の2つの方法】
これらの内で、破産申し立て者に資産・財産があった場合には『管財手続き』での自己破産を選ばなくてはいけません。ただし、管財手付きでは弁護士費用以外にも、予納金として裁判所に50万円ほどの金額を納める必要があるんですね。
いくら免責で借金が棒引きになると言っても、50万円もの金額を用意するのは、ものすごく大変なことになります。場合によっては自己破産の妨げになるケースもあるでしょう。
そこで、東京地方裁判所では予納金が20万円と少額で済む、管財手続きを行っています。そして、この方法での自己破産のことを『少額管財手続き(少額管財事件)』と呼ぶんですね。
この方法なら通常の管財手続きよりも、はるかに安い金額で申立てができますよね。しかも、予納金は分割払いも可能です。
ただし、少額管財手続きでの申立てを希望する場合には、担当の弁護士が付いていることが条件にはなります。とは言っても、自己破産の手続きは複雑なため、そもそも個人でやる方は少ないでしょう。
では、どのような自己破産のケースで、少額管財手続きの適用が認められているのでしょうか?
以下でその5つのケースを紹介しますので、できるだけ安い費用で自己破産をすることを考えている方は、ご参考にしてください。
少額管財手続きとなる5つのケース
1.破産者が偏波弁済(へんぱべんさい)している場合

破産申し立ての直前、ある債権者にだけ偏った返済をしている場合です。
自己破産した場合には、債権額に応じて公平に資産は配当されなくてはいけません。そのため、偏った返済分を再分配をするために活用されます。
2.利息制限法に違反した返済を行っている場合
違法金利(グレーゾーン金利)での返済を過去に行った場合も対象です。利息制限法を超える金利での返済は、過払い金に該当します。そのため、過払い分を取り戻して債権者を配当するために、適用可能です。
3.破産者が裁量免責に値するか調査する場合

免責不許事由が明らかである場合にも、裁量免責により借金の返済から免れられる可能性もあります※。
※ 競馬・競輪などのギャンブルや、買い物・飲食代の浪費のために多額の借り入れをしている場合には、原則として免責は認められません。
そして、裁量免責をして良いかどうかを判断するために、管財人(少額管財手続きでは弁護士)による調査が必要な場合も、少額管財手続きの対象です。
4.破産者の資産を調査しなくてはいけない場合

不動産を所有していたり、借金の総額が5,000万以上あるなどして、管財人による調査が必要な場合も対象です。
5.生命保険を解約して換価する場合
解約返戻金が20万円以上ある場合、保険も資産としてみなされます。そのため、資産を換価するために管財人が必要ですので、この場合も少額管財手続きの対象です。以上が少額管財手続きの対象となる5つのパターンです。
東京地方裁判所では、予納金の額を抑えた少額管財手続きが行われています。なお、少額管財手続きを申し立てるには弁護士が担当していることが必要です。
この手続きの対象となる5つのケースは本文をご参照ください。