住宅ローンに関する特則を利用するには条件がある!
個人再生で債務整理をする際に、『住宅ローンに関する特則(住宅資金貸付債権の特則)』を利用すれば、自宅を守りながら借金を整理できることを以下の記事で解説しました。
個人再生は持ち家を手放さなくて良い!住宅ローンに関する特則
ただし、誰もが皆この特則を利用できる訳ではありません。住宅ローンに関する特則を利用するためには、4つの条件を満足する必要があります。
以下では、それらの4つの条件について詳しく解説します。自宅を守りながら、債務整理をしたいと考えている人には大切な内容ですので、ぜひご覧になってください。
住宅ローン特則を活用するために必要な4つの条件
1.住宅ローンと借金とを返済する能力がある

住宅ローンに関する特則を利用しても、ローンが減額されるわけではありません。これまで通り、ローン返済は続けていく必要があります。
もちろん、個人再生の再生計画で認可された消費者金融やカード会社への借金返済も必要なため、毎月の支払額は以下のようになるわけです。
月々の返済額 = 住宅ローン + 最低弁済基準額※
※ 給与所得者等再生を利用する場合には、最低弁済基準額ではなく、可処分所得の2年分を36ヶ月で割った額になる可能性もあります。詳しくは下記をご参照。
給与所得者等再生を利用できる条件と返済額
これだけの金額を月々返済することができる収入がなければ、ローンの返済は続けられませんので、残念ながら住宅ローンに関する特則は利用できません。
2.住宅ローン以外の担保が設定されていない

もし、持家に住宅ローン以外の担保権が存在する場合には、この特則を利用することができないです。
そのような場合には、たとえ住宅ローンの支払いを延期しても、他の担保権を所有している債権者により自宅を売りにかけられる可能性があるからです。
それでは、いくらローンを支払いの期限を延ばしても、自宅を守ることはできませんからね。ですから、マイホームにかけられている担保権も重要になります。
3.保証会社の保証債務履行から6ヶ月以内

住宅ローンの契約において、大抵の場合はあなたと銀行との間に、保証会社が介在しています。この保証会社の『保証人』とほぼ同じ役割と果たしますので、債務者であるあなたのローン返済が遅れたときには、あなたに代わり金融機関に返済することです。
このような形での返済を代位弁済と呼びます。そして、保障会社による代位弁済から6ヶ月が経過すると、あなたにとっての債権者が銀行から保証会社に代わるんですね。
そうなると、住宅ローンに関する特則の申し立てがあっても、適用はされません。つまり、代位弁済から6ヶ月が経過するとマイホームを守るための対策を取ることができなくなります。
ですから、自宅を守りたい方はローン返済が遅れたら、手遅れになる前にすぐに弁護士に相談するようにしてください。
4.住宅ローンの延滞金を支払うことができる

住宅ローンの特則を利用しても、ローンの支払いが遅れている場合には、通常の返済分に加えて、未払い利息や遅延損害金のは支払う必要があります。ローンの支払い期間は延長されても、減額されることはありませんからね。
それらは決して大きな金額ではありませんが、この金額を支払うことができなければ自宅を守ることはできません。
未払い利息や遅延損害金は時間が経てば、経つほど大きな金額になるので、借金が原因で支払いが滞りそうな場合には、すぐに弁護士に相談するようにしましょう。
以上が、住宅ローンの特則を利用するための4つの条件です。
紹介した内容からも分かるように、ローンの支払いが遅れてしまうと、嫌でも自宅を手放さなくてはいけない状況に陥ってしまいます。
借金問題への対策は早ければ早いほど良いです。本文中でも書きましたが、少しでも返済が遅れそうだと感じたら、すぐに弁護士に相談することをおすすめします。
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本記事のまとめ
住宅ローンに関するの特則を利用するための4つの条件について紹介しました。
中でも注意しなくてはいけないのが、代位弁済から6ヶ月が経過して保証会社に債権が移ることです。そうなっては自宅を守れませんので、できるだけ早く弁護士に相談して対策を取るようにしましょう。