個人再生と自己破産の違い【2つの借金整理の方法を比較】
債務整理の方法で、おそらく最も有名なのが『自己破産』ではないでしょうか?小説や映画、ドラマの題材にされることも多いため、借金をした経験がない方でも名称くらいは聞いたことはあるはずです。
有名作品をれに挙げると、ドラマ化がされている宮部みゆきさんの代表作『火車(かしゃ)』は、自己破産(カードローン破産)をテーマにしていますからね。
また、2000年11月の民事再生法の中で創設された、新しい債務整理の方法に『個人再生(個人民事再生)』があります。
では、それらの2つの債務整理方法はどう違うのでしょう?
実は紹介した2つの方法は、そもそもの考え方が全く異なる借金整理のやり方です。そのため、いずれかの方法で債務整理を考えている方は、それらの相違点を正しく理解しておく必要があります。
以下では、それらの違いを詳しく解説しますので、2つの違いがよく分からないと感じている方にとって、ご参考になれば幸いです。
個人再生は再建型、自己破産は清算型の手法

先ほど、『個人再生』と『自己破産』とは根本的な考え方が違うとお伝えしました。では、何が違うのかと言うと、個人再生は『再建型』であり、自己破産は『清算型』の借金整理である点です。
借金整理をしなくてはいけない状況というのは、人それぞれです。
例えば、会社をクビになってしまい、収入がゼロになったために多額借金をする人もいれば、安定した収入はあるけど親や友人の保証人になったため、借金を背負ったという人もいるでしょう。
これら2人の状況というのは全く異なります。たとえば、会社をリストラされてしまい収入の見込みが全くない方の場合、今までの借金をゼロにして再スタートしたいと考えるはずです。
そのような方の場合は、今までの借金が免責されてゼロになる清算型の『自己破産』が向いてます。

自己破産の場合、裁判所から免責が認められれば、1円も借金を返済をする必要はありませんからね。ただし、持家などの資産は全て処分をして、債権者に分配をしなくてはいけません。
一方、収入はあるけど突然借金を背負ってしまった方の場合、これまでの生活を守るためにも、持家などの資産は手放しくたくはないでしょう。
こちらのケースでは、再建型の『個人再生』が向いています。
個人再生であれば、住宅ローン特則を利用できますので、たとえローン返済中であっても自宅を手放すことなく、借金返済の再生計画を認可してもらうことが可能ですので。
※ 個人再生の特徴については、以下の記事で詳しく解説しています。
個人再生のメリットとデメリット
ですので、持家を維持しながら借金を返済したい方は、個人再生を利用すれば良いでしょう。

なお、それぞれの特徴をまとめた比較表を以下に掲載しますので、より詳しく2つの方法をチェックしたい方は、ご参考にしてください。
■個人再生と自己破産の比較表
個人再生 | 自己破産 | |
---|---|---|
利用できる借金額 | 5,000万円まで | 特に条件なし |
収入の条件 | 継続的に繰り返し収入を得られる | 特に条件なし |
借金の減額 | 最低弁済基準額まで減る可能性あり | 全額免責 |
持ち家の維持 | 住宅ローン特則を利用すれば自宅は処分されない | 持家は処分される |
本記事のまとめ
個人再生は借金の一部を返済する代わりに、自宅を処分せずにやりなおしが出来る『再建型』の手続きです。
一方、自己破産は財産を処分する代わりに、借金を全額免責してもらいゼロからやり直す『清算型』の債務整理になります。