特定調停は任意整理よりも、おすすめな債務整理の方法なの?
債務整理(借金の整理)をするには、専門的な知識や業者(クレジットローン会社や消費者金融)との交渉術が必要となってきますので、弁護士に依頼する場合がほとんどです。
ただ、弁護士に支払う報酬はもったいないので、できれば自分の力で債務整理をしたいと考えている人もいるのでは無いでしょう?
たしかに、特定調停は弁護士に依頼しなくてもできる借金整理の方法です。必要書類さえ自分で作ることができれば、裁判所へはあなた自身が申し立てすることができますからね。
費用についても印紙と切手代だけで済みますので、消費者金融1社あたり付き1000円程度を納めれば良いことになります。
一方、任意整理を法律事務所に依頼した場合の費用ですが、例えばアヴァンス法務事務所の場合には139,000円が必要です(本記事執筆時点での情報のため、今後値上げの可能性はあります)。
そのため、金銭面だけで判断すると、特定調停は任意整理よりもメリットの大きな手法です。ただし、特定調停の任意整理に対するメリットはその1点だけと言えます。
その他の部分に目を向けると、デメリットも多い手法です。その中でも、特に知っておいて欲しい3つのデメリットを続いて詳しく解説します。
特定調停で債務整理しようと考えている方には、ぜひ知っておいて欲しい内容ですの、チェックしてみてください。
特定調停の3つのデメリット
1.時間と手間がかかる

特定調停では申し立て書の作成も、申し立て手続きも、裁判所への出頭も全て自分一人で行わくてはいけません。そのため、時間と手間が非常にかかる手法です。
また、借入先が多い人の場合は、裁判所への出頭回数も増えることになります。そのため、仕事がある人の場合は、そのスケジュール確保するだけでも大変です。
2.過払い金を取り戻すことができない

弁護士に任意整理を依頼した場合には、過払い金(払い過ぎた利息)があるかをまずはチェックしてくれ、ある場合にはそれを取り戻すための交渉もしてくれます。
しかし、特定調停では過払い金に関する調停は一切行われません。ですから、調停では過払い金を取り戻すことは不可能となります。
3.未払い利息や遅延損害金は支払う必要がある

次の記事で紹介したように、任意整理の場合は『未払い利息』や『遅延損害金』については一切支払わないという条件で、業者と和解交渉が進みます。
任意整理をすると未払い利息や遅延損害金は払わなくて良い
しかし、特定調停の場合には調停成立日までの未払い利息や遅延損害金も含めて、決められた借金を返済する必要があります。
以上が特定調停の任意整理に対するデメリットです。
他にも、以下のように債務者にとっては良くない点があるため、費用以外の面では正直おすすめできない手法です。
- 業者に申し立て書が届くまで督促電話や督促状が続く
- 調停委員が強引に話をまとめようとする場合、細かな条件を話し合えない
- 業者側が正しい取引履歴を隠しやすい(利息の払い過ぎがみつかりにくい)
それらのデメリットのせいか、特定調停を申し立てする人は年々減少してきており、ピーク時には年間53万件以上あった申請が2010年には28,000件まで減っています。
とは言え、費用が安く済むという方は確かですので、弁護士には1円もお金を支払いたくないという方には向いている手法です。
本記事のまとめ
特定調停は任意整理と比較するとかかる費用は少ないですが、その他の面でデメリットの多い方法です。
申し立てを考えている方は、その点も考慮して債務整理の方法を検討するようにしてくださいね。