ハードシップ免責とは【自己破産以外の免責方法】
債務整理には任意再生、自己破産、特定調停などの方法がありますが、その中の1つが個人再生と呼ばれる手法です。
個人再生での債務整理の特徴は、地方裁判所に今後の再生計画を提出して、その再生計画通りに返済を進めていく点となります。そのため、個人再生で借金整理をするためには、その計画の通りに返済を実行しなくてはいけません。
しかし、将来にどんなことが起こるかなんて、誰も予想が付きませんよね。例えば、急に病気になって1ヶ月間の入院することになったり、あるいは経営している店舗が家事にあってしまったり、なんてことも起こる可能性はゼロではありません。
当然のことながら、そのような状況では再生計画通りの返済を続けることは不可能です。では、そんなケースになったときにはどうなるのでしょうか?問答無用で強制執行が行われるのでしょうか?
個人再生ではそのよう状況に陥った場合に、例外的に債務の返済を免除される制度があります。
それがハードシップ免責と呼ばれる制度です。そのため、返済ができないからと言って、即強制執行をされるわけではありません。
ただし、ハードシップ免責を受けるためには、4つの条件をクリアする必要があります。
以下ではその4つの条件について解説します。個人再生での債務整理を考えている方や、今まさに個人再生の計画を遂行中の方には知っておいて欲しい内容ですので、ぜひご覧になってみてください。
ハードシップ免責を得るための4つの条件
1.債務者を責めることのできない事情で、計画の遂行ができないこと
冒頭の例で紹介したように、長期入院をしたり、自営する店舗が火災・地震の影響を受けて、続けることが難しくなった場合はこれに該当うすると考えて良いでしょう。2.債務の4分の3以上の返済が完了していること
個人再生を始めた途端に免責を認めてしまっては、債権者にはほとんど返済がされないことになってしまいます。それでは、再生計画を立てた意味がありません。そのため、債務のほとんどを返済し終わったと言える、4分の3以上の支払いを済ませていることが条件になります。
3.清算価値以上の弁済を終えていること
もし、あなたが自己破産して所有している資産(持ち家・車・貴金属など)を処分して、それを返済にあてた場合よりも、個人再生での返済額は少なくなっては、債権者が個人再生を認めた意味がありません。ですので、所有する資産を処分(清算)して返済するよりも、たくさんの金額の弁済を終えている必要があります。
4.再生計画を変更しても返済ができないこと
再生計画のスケジュールを多少伸ばして、返済ができるのであれば、債権者にとっては期間を延ばして、返済をしてくれた方がありがたいです。その点を踏まえて、ハードシップ免責を認めらてもらうためには、再生計画を変更しても返済できないこと状況でなくてはいません。
以上がハードシップ免責を認めてもらうための4つの条件です。
4つの条件をご覧になって分かるように、ハードシップ免責を認めてもらうためには、かなり高いハードルをクリアしなくてはいけないことが分かります。
ただし、冒頭でも書いたように将来はどんなことが起こるか分かりません。個人再生はしたけれど、どうしても返済ができない状況に陥ったときのために、そのような制度があることを理解しておきましょう。
なお、借金整理の方法は何も個人再生だけではありません。自分の状況にあった債務整理の方法を知りたい方は、一度弁護士や司法書士に相談されることをおすすめします。

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ハードシップ免責とは、個人再生での債務整理を実施中の方が、再生計画を遂行できなくなったときに利用できる免責制度です。
免責を受けるための条件は厳しいですが、大きな救済手段になり得る制度なので、そんな仕組みがあるということだけでも、頭の片隅に置いておきましょう。